博士課程の学生の収入源について

奨学金

経済的な理由で博士課程に進学するかどうか迷っている学生向けの記事です

博士課程の学生の支出はどの程度か?

博士課程は、4年生学部卒業後、修士課程2年を経て、3年間は研究に従事しないといけません(6年生学部の場合は4年間)。年齢で言うと最低でも24歳~27歳になります。

学部で就職した同級生は入社2~5年となっていて、バリバリ稼いで、自立した生活を送っているにも関わらず無収入の期間が過ぎていきます。

私が博士課程に在籍していた時の主な支出は以下のようになります。

  • 家賃:7.5万円/月
  • 光熱費:通信費食費:0.6万円/月
  • 学費:4.3万円/月(国立大学博士課程の学費は約52万円/年)
  • 食費:3.5万円/月
  • 図書費:0.5万円/月
  • 交際費:2.0万円/月

ざっと考えても月に18万円以上の支出があります。年間で216万円以上になる計算です。私のケースでは、東京に住んでいたため、家賃が高いですが、地方においても年間180万円程度はかかるのではないでしょうか。

あおもり
あおもり
博士課程の学生になると両親が定年を迎える人もいて、仕送りを頼むのも申し訳ない気もするよね。

博士課程の学生の収入源

私自身も修士課程までは面倒を見るけど、それ以降は支援してやれないと両親に言われたため、必死に収入を得ようと頑張りました。

主な収入源は以下のものでした。

  1. 日本学生支援機構奨学金
  2. 日本学術振興会特別研究員
  3. 民間の奨学金
  4. 学内の奨学金

大抵の場合、上記の収入源は重複ができないので、これらのうちのどれかを単独で受給し、生計を立てる必要があります。以下にそれぞれの奨学金の難易度と受給額について紹介します。

1.日本学生支援機構奨学金

  • 難易度 :★☆☆☆☆
  • 受給額 :★★★☆☆
  • おすすめ度:★★★☆☆

奨学金という名の借金。最もポピュラーな奨学金となります。私自身は学部から修士にかけてもらっていました。返済総額は600万円以上・・・。 個人的な考えですが、返すのは本人なのに、無利子か有利子かどうかを親の年収で決めるのはおかしいと思います。本人の返却時の年収に応じて無利子になるかどうかを決めるような取り組みが最も公平だと私は思います。

■ 借りることのできる金額

  •  無利子の場合:4.5万円~6万円程度
  •  有利子の場合:2万円~12万円程度

■ 難易度について この奨学金に関しては、基本応募すればもらえるので難易度は極めて低い奨学金となります。もちろんある程度の成績であるということが前提ですが。

あおもり
あおもり
借金になるのでご利用は計画的に!

 

2. 日本学術振興会特別研究員

  •  難易度 :★★★★☆ (倍率3~5倍)
  •  受給額 :★★★★★
  • おすすめ度:★★★★☆

日本学術振興会特別研究員

特別研究員
日本学術振興会のページです。

いわゆるDC1, DC2と言われるものですね。すべてのドクターの憧れのようなものだと思います。また、研究者としての登竜門的な位置づけでもあります。自分の研究テーマをよりよく見せて、お金をとるんだという研究者としての必須のスキルを磨くにはもってこいです。

■ 受給できる金額 20万円/月 + 研究遂行費用(~100万円程度)

これだけあれば、何とか自立した生活が送れるでしょう。(物価上昇や消費税増税に比例して、受給額も増額すべきですが、ずっと上がってないと思います。)

■ 難易度について なかなかこれを受給するのは難しいです。博士課程の1年目(D1)から受給するためには、修士課程2年目(M2)の春に申請しなければいけません。

逆算すると、修士課程1年目(M1)のころから学会発表や論文投稿を経験した人が有利になる、ということです。

■ 一度落ちても、再度チャンスがある 一方で、博士課程2, 3年目からも受給することができるので、毎年、春の時期に申請を続けることで受給のチャンスが出てきます。学振をどうやってとるのか、については後々記事にしたいと思っています。

また、日本学術振興会特別研究員になると、自立した生計を立てているとみなされるので、国立大学の場合は学費も減免されることもメリットの1つになります。

あおもり
あおもり
特別研究員になると研究者としての力量も証明できるので、就活の時にもアピールポイントになる(かも)

3. 民間の奨学金

  •  難易度 :★★★★☆
  •  受給額 :★☆☆☆☆
  • おすすめ度:★☆☆☆☆

民間の奨学金は、倍率が非常に高いわりに受給額が少なく、他の奨学金と併用することもできないことが多いため、あまりお勧めではありません。

■ 受給できる金額 奨学金によってそれぞれ (2~5万円程度のものが多い)

民間の奨学金はいくつか応募したことがありましたが、どれも無理でした。どうやってとるの?という感じでしたね…。

民間の奨学金についてまとめているサイトを紹介します。

返さなくていい給付型奨学金をくれる団体
返済の必要のない給付型奨学金をくれる公益財団法人や一般財団法人などの民間団体を紹介します。
あおもり
あおもり
返済不要の奨学金も多いけど、博士の学生として自立した生活を送るのは難しいから、あまりおすすめできません。

4. 学内の奨学金

  •  難易度 :★★★☆☆
  •  受給額 :★★★★★
  •  おすすめ度:★★★★★

近年は、博士課程に進学する学生に対する学内の支援が充実してきています。その最たる例が、「卓越大学院プログラム」です。10年ほど前から同様の制度が名前を変えながら続いています。

卓越大学院プログラム

卓越大学院プログラム
日本学術振興会のページです。

■ 受給できる金額 ~18万円/月

特別研究員と同程度の金額が受給できるため、自立した生計を立てることができます。

■ 難易度について

学内で募集する形になるので、倍率がそれほど高くない点がポイントです。(上位層の学生は「日本学術振興会特別研究員」に採択されることも要因だと思います。) 所属している大学によってはこのプログラムに採択されていない場合もありますでの、大学のHP等を参考にして調べてみてください。旧帝国大学・早慶レベルの大学は採択されいる傾向にあります。

■ ただし、受給するためには条件も…

受給する代償として、プログラムに参加することが強制されます。しかし、そのプログラムに参加することは、研究しているだけでは得ることのできない経験や人脈の形成につながります。

あおもり
あおもり
私の所属していた大学では、特別研究員と卓越大学院のどちらかに採択されている人が、トータルで半分くらいいた印象です。

まとめ

博士課程の学生を営むには年間216万円以上の支出が必要

・博士課程の学生の主な収入源として、日本学生支援機構奨学金、日本学術振興会特別研究員、民間の奨学金、学内の奨学金が挙げられる

・それぞれの奨学金によって、難易度や受給できる金額が異なる

 

以上になります。経済的な理由で進学を悩んでいる学生さんの参考になればと思います。

ご覧いただきましてありがとうございました!

コメント

  1. […] 博士課程の学生の経済事情については以前記事にしましたので、ぜひご覧ください。博士課程の学生の収入源について […]

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